1.下刈りが必要な理由
スギやヒノキなどの苗木は、育つために必要な明るさと栄養のある土地に植えれらますが、このような環境は、その他の草木にとっても快適な環境なのです。
そこで、植えた木が、自然に生えてきた草木との競争に打ち勝てるように、人が草木を刈ってあげる必要があるのです。
2.下刈りが必要な期間
スギやヒノキの場合、ほかの草木を追い越す程度の高さ(約1.3m)になるまでの間で、およそ植えた年を含め5〜7年程度必要です。
なお、育ちの悪い場合は、10年間くらい必要な場合もあります。
3.作業の時期
年1回の場合:7月下旬〜8月中旬
年2回の場合:6月下旬〜7月下旬と8月中旬
なぜ、真夏の厳しい時期に下刈りをする必要があるのか?
- ①雑草木の成長速度がピークに達するため。
- ②雑草木が前年に蓄えた養分を使い切り、これから翌年の成長に必要な養分を蓄えようとしてしている時期であるため。
- ③高温多湿になると、埋もれた植物が生理障害を起こし、衰弱、枯死する場合があるため。
4.作業道具
長柄鎌:柄の長い特殊な鎌。能率は比較的悪いが、植栽木の損傷が少ない。
刈払機:先端に回転鋸の付いた電動式の器具。能率は最も良いが、植栽木に損傷を与えやすく、岩石が多いところでの使用が難しい。
刈払機は、慣れないと非常に危険なため、本活動では長柄鎌を使用します。
5.下刈りの方法
- (1)全刈(ぜんがり):全面を刈る。
- (2)坪刈(つぼがり):植取木の周囲を円く刈る。(周囲1m四方)
- (3)筋刈(すじがり):植栽の列に沿って列伏に刈る。
6.作業の手順
斜面の下方から上方に刈り進みます。
(植栽木が見やすく、安全に作業ができるため。)
7.カマの使い方
- (1)カマの刃先が左側にくるよう柄の下方を持ちます。
- (2)刃先を右前方から左後方に動かすよう腕全体でカマの柄を振ります。(横方向には振らない。)
- (3)太い草など刈り払いにくいものを切るときは、刃の柄に近い部分を草の根元に当て、斜め刃の先端にスライドさせるよう斜め後ろ上方に引くと切りやすいです。
- (4)カマは硬い木を切る道具ではないので、直径の大きな雑木や硬いものを切る時にはオノやナタなどを使用します。
8.注意事項!
- (1)カマの刃の取り付けがゆるんでいないか確認する。
- (2)植えてある木は刈らない。(特に広葉樹の場合は要注意!)
- (3)複数で作業する場合は、お互いのカマがふれあうような距離に近づかない。
- (4)複数で作業する場合は、斜面の上下で並ばない。
- (5)山の斜面を上り下りするときは、長い柄をつえ代わりにして歩かない。
- (6)カマを使わないときは必ず刃にカバーをする。
- (7)カマは秩父農林振興センターから借りたものです。原則は研いで返すことになっていますが、少なくとも刃先の土などは払って「熊高の森」看板のところに戻しましょう。
- ※参考資料:
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- 林業入門テキストブック「森林ガイド くらしと仕事」 全国森林組合連合会
- ニューフォレスターズ・ガイド 社団法人全国林業改良普及協会
- 林業技術ハンドブック 社団法人全国林業改良普及協会